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二宮和也主演『8番出口』、公開3日で興収9.5億円突破 北米でも異例のヒット

川村元気監督が手掛けたゲーム実写化作品が、日本公開初週末に観客動員67万人を記録し、北米でも495スクリーンで143万ドルを稼ぎ出す快挙。

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二宮和也主演『8番出口』、公開3日で興収9.5億円突破 北米でも異例のヒット
川村元気監督が手掛けたゲーム実写化作品が、日本公開初週末に観客動員67万人を記録し、北米でも495スクリーンで143万ドルを稼ぎ出す快挙。

要点

  • 8月29日から全国407館で公開、3日間で観客動員671,840人、興行収入9億5391万900円。
  • 北米公開初週末の売上は143万ドル、495スクリーンでランキング8位。
  • 北米配給はNEONが担当、同社は『パラサイト』『ANORA アノーラ』でオスカー作品賞受賞。
  • 第78回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門に正式招待、2300人がスタンディングオベーション。
  • 原作ゲームはKOTAKE CREATEが個人制作、全世界累計180万本超のダウンロード。
  • 9月12日からMX4D・4DX・SCREENX・ULTRA 4DX・Dolby Cinemaでの上映開始。
  • アジア、ヨーロッパなど100以上の国と地域での公開が決定。

異変を探す無限ループが映画館を席巻

地下鉄の無機質な通路を永遠に彷徨い、わずかな異変を見つけては引き返す――。2023年にインディークリエイターKOTAKE CREATEが一人で生み出したゲーム『8番出口』が、川村元気監督の手で実写映画化され、日本で公開初週末から異例の大ヒットを記録している。 8月29日に全国407館で封切られ、公開から3日間(8月29日~31日)で観客動員67万1840人、興行収入9億5391万900円を達成。2025年公開の実写映画の中で、この3日間の興行収入はトップに立った。配給は東宝が務める。 この数字は、ゲーム原作の映画としてはもちろん、オリジナル作品としても異彩を放つ。特に、大規模な宣伝キャンペーンを行わなかったにもかかわらず、SNS上で主演・二宮和也の出演発表が2900万インプレッションを超える拡散を見せ、事前の期待値を爆発的に高めていた。

北米市場で異例の健闘、495スクリーンでトップ10入り

日本公開とほぼ同時期に北米でも公開された本作は、495スクリーンという限られた規模ながら、初週末に143万ドルを売り上げ、週末ランキング8位に食い込んだ。トップ10入りした他の作品がすべて1200スクリーン以上で公開されている中、これは極めて異例の数字である。 北米配給を手掛けるのは、2017年設立の新興スタジオNEON。同社は2020年に『パラサイト 半地下の家族』、2024年に『ANORA アノーラ』をオスカー作品賞に導いた実績を持つ。外国語映画とホラーに強く、ニコラス・ケイジ主演の『ロングレッグス』が過去最高のヒット作となっている。 公開2週目は前週比49.8%減の12位に後退したが、ホラーやゲーム映画化作品では公開直後にコア層が集中し、翌週に大きく落ち込むのが常であり、5割弱の減少は健闘と言える。レビューサイト「Rotten Tomatoes」では批評家の92%、一般観客の87%が好意的な評価を与えている。

カンヌで2300人が総立ち、世界100カ国以上で公開へ

本作は第78回カンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門に正式招待され、ワールドプレミア上映後、満員の2300人から大歓声のスタンディングオベーションを受けた。川村監督は「圧倒的に新しい映画体験」と絶賛され、海外メディアからも「重層的かつ現代的なテーマが編み込まれている」と高い評価を得た。 カンヌでの成功を受け、アジア、ヨーロッパなど100以上の国と地域での公開が決定。さらに、第50回トロント国際映画祭(9月4日~)、第30回釜山国際映画祭(9月17日~)、第58回シッチェス・カタロニア国際映画祭(10月9日~)への出品も決まっている。 日本では9月12日から、MX4D(12館)、4DX(58館)、SCREENX(20館)、ULTRA 4DX(4館)、Dolby Cinema(9館)での拡大上映が始まり、体感型フォーマットでさらなる集客が期待される。

川村元気監督の作家性と、ゲーム実写化の新たな地平

川村元気監督は、『告白』『君の名は。』『怪物』などのプロデューサーとして知られ、2022年の初監督作『百花』でサン・セバスティアン国際映画祭の最優秀監督賞を日本人として初めて受賞した。本作はその第2作であり、まさかのゲーム原作という選択に業界は驚いた。 川村監督は「2023年12月に原作ゲームを発見し、日本の無機質な地下通路が無限ループするデザインに感銘を受けた。世界中の都市生活者の根源的な恐怖を描けると思った」と語る。さらに「あの空間は人間の心の中であり、心に抱く罪が可視化されるのだと捉えたら、物語が動き出した」と、能の『見立て』や『序破急』の概念を援用した独自の解釈を明かした。 監督はまた、『百花』で溝口健二の『雨月物語』を念頭に置いたように、本作ではデヴィッド・フィンチャーの『セブン』やフェデリコ・フェリーニの『8½』をモチーフの一つとして挙げている。「まるで罪を可視化されたような映画、悪夢を見ているような映画」と位置づけ、実写とアニメーションのマジックリアリズムを融合させる試みだと説明した。

主演・二宮和也と共演陣、限られた情報の中で放つ存在感

主演の二宮和也は、無限ループに閉じ込められた男性を演じる。川村監督は二宮を「日本のダスティン・ホフマン」と評し、カンヌでの手応えを確信したという。共演には、小松菜奈、河内大和、浅沼成、花瀬琴音が名を連ねるが、ストーリーの性質上、出演者情報は最小限に抑えられている。 映画の上映時間は95分。原作ゲームのルール――「異変を見つけたら引き返す、見つからなければ進む」――を踏襲しつつ、主人公の内面に潜む不安や家族への恐怖が可視化される独自の物語が展開される。 なお、映画には津波など自然災害を想起させるシーンが含まれるとして、製作委員会は鑑賞にあたっての注意を呼びかけている。

世界の映画祭と観客の反応が示す、日本発ホラーの新たな可能性

本作の成功は、日本発のゲーム原作映画がグローバル市場で通用することを証明した。特に、北米でのヒットは、外国語映画に厳しい市場でNEONのマーケティング力と作品の質が結実した好例と言える。 カンヌでのスタンディングオベーション、トロントや釜山など主要映画祭への出品、そして100カ国以上での公開決定は、単なるゲーム実写化の枠を超えた文化的現象となりつつある。川村監督が目指した「誰も見たことがないユニークな映画」は、世界中の観客の共感を呼んでいる。 一方で、公開直後にコア層が集中するホラー作品の宿命として、日本でも週を追うごとに興行収入が落ち着く可能性はある。しかし、各種ラージフォーマット上映や海外公開の広がりにより、長期的な興行の持続力が試されることになる。

まとめ

  • 二宮和也主演『8番出口』は日本公開3日間で興収9.5億円、2025年実写映画トップのスタート。
  • 北米では495スクリーンで143万ドル、ランキング8位と異例の健闘。
  • 配給NEONは『パラサイト』『ANORA』に続くオスカー級のヒットを狙う。
  • カンヌ国際映画祭で2300人がスタンディングオベーション、世界100カ国以上で公開決定。
  • 川村元気監督がゲームのループ構造を心理的恐怖に昇華、『百花』に続く作家性を確立。
  • 9月12日から体感型上映がスタート、さらなる興行拡大が期待される。
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